【50周年記念作品】

Skyfall・・・別に大仰な意味があるわけじゃなく、
ジェームズ・ボンドの生まれ故郷の地名でありました。


◇   ◇   ◇

ボンド映画はシリーズ全部を見たわけでもなく、新作が公開されるたびに
映画館に足を運ぶほどの真面目なファンでもなく、「歴史的知識」として、
ああこの作品のボンド役はロジャー・ムーアで悪役は誰で、テーマ曲は・・・
てな感じ(寅さん映画的なスタンス)だったんですが、
今のダニエル・クレイグが主役になってからのシリーズは、何となく
気に入って続けて観ていました。

『カジノ・ロワイヤル』はボンドがまだ新米の「00」諜報部員で、
格闘も未熟で、余裕がないいっぱいいっぱい感が新鮮でした。
なんせ毒入りワインをなんの疑いも無くあおって、本当に死にかけちゃうんですから(笑)
ボンドガールつうか、相手役の女性にも本気で惚れちゃうし・・・
そんなこんなの課程を経て、一人前のジェームス・ボンドになっていく、
成長物語でもありました。

そんな初々しいボンドが、時系列的に繋がっている続編『慰めの報酬』に続き、
4年ぶりに還ってきました!と思いきや
ここでのボンドはロートル扱い、そもそもイギリスのMI6のスーパー諜報部員が
機転と秘密兵器を駆使して、世界を救うという設定自体がもう世界の時局に
そぐわなくなってしまいました。ダニエル・ボンドは3作目にして早くも
肉体的にもお仕事的にも「時代の遺物」的存在になってしまいました。

過去作では、ペン型爆弾やリモコン式ボンドカーを開発し、ボンドに支給するQ
と呼ばれる人物は白髪のおじいちゃんでしたが、今作ではメガネをかけたパソコン
おたく青年に世代交代しています。「あなたが現場で汗水たらした成果を、僕は
自室にパジャマ姿で紅茶飲みながら指一本でやってのける」と言わせています。
新しい武器は指紋照合のワルサーと発信機!のみ。
「無傷で返すように」というお約束のフレーズは忘れていませんでしたが(笑)

MI6の局長Mには、7度目のジュディ・デンチ。
敵役シルヴァは、ハビエル・バルデム(『ノーカントリー』笑ってると一瞬誰だかわかんない)
監督はサム・メンデス(『アメリカン・ビューティ』『ロード・トゥ・パーディション』)

『カジノ・ロワイヤル』がボーンシリーズに影響を受けたように、本作は明らかに
『バットマン/ダークナイト』にモロ影響を受けています。(監督も参考にしたと言ってます)
序盤のアクションは最高。一瞬の沈黙を置いてからのタイトルバックとテーマ曲は秀逸。
ここまでだけでもこの映画を観る価値はあります。
世界遺産の軍艦島をロケ地にした敵のアジト、
最後の決戦に選んだ故郷SKYFALLの荒涼とした風景。
暗く沈んだ色調も見事で、追い詰められたボンドの心境そのものです。

ボンド対シルヴァは善対悪というより、コインの裏表のような様相。
元はといえば、同じMI6の仲間。
M(≒母親)に対する愛憎錯綜する狂気。(「00」諜報部員はみな孤児)
それはまるでカインとアベルの物語のようでもありました。

ふつう、このシリーズの悪役は世界征服やら政府転覆やらを図る世界的脅威なんですが、
今回はかなりのスケールダウン、仲間内というかちょっと傍迷惑な兄弟げんかみたいなもの?
でも浮かんでくるのは、「かつては俺もお前のようだった」「俺も一歩間違えればお前だ」と
いう近親憎悪というか内面世界に展開する「自分探し」

そしていざとなったらコイツ、という原始的な方法で敵を倒したボンド。
「負の自分」を倒し。
(結果的に)「母親」を失い、
故郷を燃やされ、愛車を破壊され・・・
いくつかの通過儀礼を経て、
クレイグボンドは本当のジェームズ・ボンドになったわけですね。

新しいMが就任し、往年のデスクが再現され、
秘書のマニーペニーが復帰し、
ボンドが本部にやってきて、秘書と軽口を叩いて、ボスの部屋に顔を出し
指令を受ける、往年のパターンが再現されました。
そういえば、逃走劇の途中でアストンマーチンのボンドカーに乗換え
あの007のテーマソングが流れた場面がいちばん燃えましたね。
(おまけにヘッドライトに仕込んだ機関銃撃ちまくるし)

こうして新旧取り混ぜて、ごたまぜになって初期化され、リブート完了。
自作からは何事も無かったかのように、クレイグ・ボンドは平常運行するのでしょう。
そして、007シリーズはいつまでもいつまでも続く、と
(次回の敵役は、ドクター・ノーだったりして)

還暦、という考えはあちらにはないけれど、
シリーズ半世紀という節目を迎えて、
一から振り出しに戻る、の巻でした。


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名車アストン・マーチン。
昔のクルマには個性があって魅力的ですね。
「乗り心地が悪い」とMに言われてしまいました。



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(2013/08/02)
ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム 他

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≪追記≫
思い出しました。
笑わぬハビエル・バルデムが不気味な殺し屋を演じた『ノー・カントリー』こそ、
トミー・リー・ジョーンズ扮する老保安官に「年寄りに住む土地は、ない」と
言わした「世代交代」の象徴でした。

【芝桜としゃくなげ】

今年のGWは多部ちゃんの『わたしを離さないで』観劇ツアーのみで終わってしまったので、
前々から予約していた「富士芝桜まつり」を見に行くことにしました。
高速バスツアーには初めての参加です。
クラブツーリズムの新人添乗員・Sさんいろいろお世話になりました。

横浜駅西口の集合場所に午前7時半。
貸し切りバス3台に分乗して、いざ出発。
平日とはいえ、人気のある企画なんですね。

午前10時半ごろ、現地の本栖湖付近に到着。
お昼まで自由行動となりました。

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利用したバス。
トイレ休憩の時にわかんなくなるといけないので、スマホで撮影しときました。

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テレビのニュースでよく中継しているまんまの風景。
最盛期が過ぎて、ところどころ薄くなっているのがご愛嬌です。

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広場の中央にある富士山を模った丘。

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こっちは本物の文化遺産。

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ならば二つ並べてみましょう(笑)

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朝のうちは曇ってましたが、お昼ごろにはいい天気になって・・・
桜の塩漬がませこんであるソフトクリームが美味しかったです。
いろんな屋台が出てて、焼きそばとかもつ煮とかスイーツとか・・・

バスに戻ると、お弁当の用意がされていました。
そうです、これは途中の食費を抑えて、いいとこ巡りの弾丸ツアーなんです。
バスは一路、芦ノ湖方面へ。

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カメラ目線の牛さん。
エレキングのような模様ですね、おにいさん。

◇   ◇   ◇


芦ノ湖湖畔にある山のホテルにて、つつじ庭園を見学。
ここはイギリス風の庭園の中に、つつじ、しゃくなげ、バラ等が咲き誇るので
有名とか。(バラはまだ咲いていませんが)
屋台でソーセージの焼いたヤツとかビールを売っていたのですが、
ここは我慢我慢。

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帰りに鈴廣によって、蒲鉾とわさび漬を買いました。
勿論、家に帰ってからいたわさで一杯(ひひひ)

でも家まで我慢が持たず、吉野町の庄屋で
中生ジョッキとほっけと〆鯖、ソースやきそばを頂きました。
いたわさは、翌日ということで・・・

すっかりほろ酔いのご機嫌な休日となりました。


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【映像的な演出】

①サッカーに興じるヘールシャムの生徒達
奥行きのあるステージを生かした演出。
スローモーションを模したマイム的な動きがちょっと紋切型で長かったですかね
(ドリフのコントみたい)

②ラジコンのヘリコプター
あれは何の暗喩だったんでしょう?
私は単純にノスタルジックな小道具(3丁目の夕日のゴム動力模型飛行機みたいな)と
思ったんですが、ツレはあれは生徒達を監視する道具だと・・・
(映画ではブレスレットを壁のセンサーにピッとやりますね。あれ、的な)
終盤にも登場します。サッカーする少年達とセットですね。

③吹きつける風、風、風
ヘールジャムの教室を吹き抜ける風(揺れるカーテンによって視覚的にも強調)
は、彼らの閉ざされた閉塞感を暗示。
堤防に吹きつける風(飛んでくる紙クスでより視認的に)は、彼らの不条理な運命への寂しさ。

第2視聴覚室の積み重なった机、難破船、ススキのような草の生えたコロミーの居間・・・
膨大な量の会話の積み重ねを、映像的なセットでもって支える、
蜷川演出の一端を見るような思いです。

それにしても、
あのラジコンヘリはなんだったんだろう・・・?


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風に揺らぐ白い大きなカーテン。
それらが、風の吹きぬけるのを表現すれば表現するほど、
逆に彼らの閉塞感が迫ってきます。



もう15年になるのか…
自分も老ける訳ですね。
この頃はオール、オッケーだったんですよねえ(笑)

『First Love』発売から15年。宇多田ヒカル、LIVE5作品をWOWOWで3カ月連続一挙放送! - MSN産経ニュース


『Addicted To You』PV撮影ロケの頃の
親子3ショット。ファンの間では有名でしたが、先日父親がツイッターで公表。


【中華街の味付け】

カミさんの調子が良いようなので、散歩がてら
隣町の廣東楼に行ってきました。
昔から、ここのしいたけそばがお気に入りなんです。

お勧めは、あんかけヤキソバ、タンメン、五目そばなど
一品料理とか中華オードブルの盛合わせなんかも作っていて、
高校時代の友人達が集まるようなパーティには
利用してみようかなと思いました。

本格的な中華街の味付け、というと
町の中華料理屋さんの味付けよりもソフトな感じ。
それをご近所の味にやや近付けた感じ。
そばは基本手打ちの細麺。

今流行のとんこつとか背脂とかの濃厚な世界とは程遠いけど
平和な昔ながらの味です。

気功師のコンビ(食後に座敷で互いをマッサージし始めた)、
中国人の賑やかな家族、放浪の旅で立ち寄った台湾の青年とか、
とってもアジアンな雰囲気の中、
私たち夫婦はギョーザとあんかけヤキソバ、しいたけソバを
たいらげ中生ジョッキ3杯いただきました。

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商工地域の真ん中にポツンとある店舗。

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アジアンというよりエスミックな感じの入り口。

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ギャーザは5個。ビールのお供に丁度いい。
醤油を使わず、お酢とラー油だけのタレにつけて食べても
これがまた、美味しいですよ。

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あんかけヤキソバ。
「やわらかいソバ」と言って注文したのに、最初はカタヤキが出てきたかと
思うほど、ソバに焼き目を入れてます。
あんがからまって、麺がしだいに柔らかくなっていく食感も楽しいです。

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これがしいたけソバ。
しいたけの旨味があんに閉じこめられていて、それが細い麺にからむ、からむ・・・
見た目は濃い色をしてますが、スープは意外とあっさりめ。
この色はしいたけ由来のものですね。




2014.05.11 予習用・・・
【『キレイ』初演DVD】

しまった、ついポチってしまったw
で、もう届いてしまった・・・


ケガレのテーマ、超ムズ!




【釣りに行こう】

THE BOOM のCDは、実家のライブラリーに1枚だけあります。
『サイレンのおひさま』という魚の目がアップになった、ちょっとエグいジャケです。
彼らの2枚目のオリジナル・アルバムになります。
そのなかの『釣りに行こう』よいう曲が大好きでした。
矢野顕子も大いに買っていて、一緒にレコーディングしたりしてます。

スマホの有線を聴いていたら、ふいに流れてきて涙が出てきました。
通勤帰りの電車の中だったので、ちょっと困りました。

ちょっと年上の幼馴染の家に、釣竿とバケツを持って、
「おにいちゃん、釣りに行こう」と迎えに行っているような・・・
でもそのおにいちゃんはいつも昼寝してばっかりなんです。
麦藁帽子にランニングシャツ姿の子供の姿が目に浮かびます。
まるでゲームの「ぼくのなつやすみ」をやっていつようです。


【釣りに行こう/矢野顕子+THE BOOM 】

【THE BOOM『釣りに行こう』】

サイレンのおひさまサイレンのおひさま
(1989/12/01)
THE BOOM

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今日は母の日、
私とツレの両方の母親に、花を贈りました。


【予習のために】

2000年、初演時の奥菜恵。
目がキレイで印象的です。

【キレイ初演『ケガレのテーマ』】


キレイ 神様と待ち合わせした女 [DVD]キレイ 神様と待ち合わせした女 [DVD]
(2001/04/18)
奥菜恵、南果歩 他

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あ、こちらからも買えますね。
チケットは取りにくそうだから、
こっちに期待しようかなあ・・・



【主演:多部未華子】


再々演となるようです。
それにしてもそうそうたるメンバーですね。
ついに≪原点≫ミュージカルの舞台です。
初演は2000年
再演は2005年だそうです。


2014/12/5(金)~30(火)
●出演:
多部未華子、阿部サダヲ、小池徹平、尾美としのり、田畑智子、
皆川猿時、村杉蝉之介、荒川良々、伊勢志摩、猫背椿、
宮崎吐夢、顔田顔彦、少路勇介、町田水城、伊藤ヨタロウ、
家納ジュンコ、オクイシュージ、松尾スズキ、田辺誠一、松雪泰子      ほか


大阪公演もあるようです。

【大人計画サイト特報】

【SINRA NEI 】

【初演DVD】
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いや、これ何か見覚えある・・・
主演は奥菜恵。

【再演DVD】
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主演は鈴木蘭々。(やはり代役でした)
当初は誰だったのでしょうね?
あ、酒井若菜でしたか、なるほど。

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今回の再々演の告知ポスター。
田畑智子とは、ある意味夢の共演w

それにしてもひっぱりダコですねえ。
2014年前半はドラマ、後半は舞台ですね。
そういえば、Bunkauraシアターコクーンからも花が届いてました!
そうか、これだったんですね。





【片寄った構図フェチ】

こういう映画、ただでさえ大好物。
おまけに予告編のナレーションが多部未華子とは!
(自由だなあ・・・)

劇場公開は2014年7月。


【映画『イーダ』公式サイト】

【『イーダ』予告編】

【映画.com 】

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そういえば、番宣の「TOKIO×」で
ポーランドに行ったっていいませんでしたっけ?
あのアウシュビッツで撮った写真が映ったとき・・・


【25周年THE BOOM、新曲MV出演】

『わたしを離さないで』上演のさいたま芸術劇場には、沢山の花が
飾られていました。多部ちゃんだけでなく、他の共演者の方々あてにも。

その中でいちばん目立っていたのは「三浦春馬」からのお花でしたが、
不思議だったのが、The Boom からのお花とよしもとからのお花。

多部ちゃん、いつかは吉本の舞台に立つんかいな、ファンだからな・・・
と思っていたのですが、ようやくナゾが解けました。

THE BOOM の25周年記念『星のラブレター』PVに多部ちゃんが出演するのですね。
撮影は4月に行われたようです。


【25周年THE BOOM、新曲MVに“同い年”多部未華子】

【THE BOOM「星のラブレター」MV(Short.ver)】

【ビデオクリップ撮影風景】


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いい表情してます。お花届くのもわかる(笑)
こういう寄った構図割と好き・・・

ちなみに今、THE BOOMはよしもとに所属しているとか。


【3人の俳優】

木村文乃は頑張っていましたね。
これが初舞台とは思えないほど堂々としていました。
滑舌もいいし、台詞も聞き取りやすかった。
ただ5/2観たときには、我がままで自己中な女の子の
口調がややもすると一本調子になってしまったかも。
「提供」が始まって弱ってきた時には、だいぶ儚げな感じに
なっていましたけど・・・
それにしても、先が楽しみな女優さんですね。
正統派美人だし、テレビよりも舞台向きでは?という意見にも頷けます。

三浦涼介は、蜷川作品への出演歴もあるだけあって
演出や共演者達の演技に支えられて、インスピレーション溢れる
芝居を自分の思うがままに繰り広げているようでした。
背が高く、国籍不明風のビジュアルは日本に舞台を移した本作品に
原作との「つながり」を感じさせるに十分でした。
時には少年のように、時には八尋にだけ心許し、
付き合っていながらも鈴にはちょっと素っ気無い、というように
回によって試行錯誤しているようです(りょんくんのファンによると)

さて、われらが多部ちゃんはどうかというと、
2人の芝居を受けに受けて、終始抑え気味の演技でした。
溌剌とした『農業少女』、1人芝居として多部演技を確立した『サロメ』に
比べると、一瞬よもやの不調?と思わせるような序盤。
でもこれが多部マジックの序章だったのですね。
序盤、彼女の台詞が、音量不安定なのが気になりました。
声も相変わらずよく通るし、ささやく台詞すら聞き取れるのですが、
よく訓練されたアンサンブルと好演する2人の共演者に比べると
ちょっと音量が低いかな、と感じました。

でもそれは八尋の「幼さ」受容能力よりもむしろまだ「受動的」。
そんな八尋の心細さを体現しているかのようでした。
のちに有能な介護人となっていく八尋の成長に従い、
その口調は落ち着いた安定したものになって行きます。

もしそれが演者の技量不足からくるものであるならば、
世界のNINAGAWAが見過ごすわけありませRんよね。
彼はむしろこれら若手俳優を自由に演技させようと
わざと机をいっぱい並べたり、積み重ねたりして
あえて「芝居しにくく」バイアスをかけることに注力したみたいです。

そして、終盤多部未華子ならではの名演技も見せてくれます。
もとむと2人で、「猶予」を受けようとマダム宅を訪れる場面。
夢中で自作の絵を見せるもとむ、
一縷の望みを託して一緒に訪れた八尋。
マダムや校長先生の話を聞くうちに、

あ、今、八尋の心が折れた・・・

とわかる瞬間があります。
台詞も動きもなく、「気配」でそれが伝わります。

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【尊敬する同業者】

『Never Let Me Go 』の歌詞になる“Baby”の解釈を披歴する八尋・・・
「私は赤ちゃんのことだと思いました」
このへんから私は涙腺が決壊。
周りからも鼻をすする音が聞こえてきます。

多部ちゃんは自分のこともそうですが、
他の2人の主要キャストに華を持たせつつ、
その芝居を受けて、より良いものを引き出す・・・
そんな試みもしているような気がします。

番宣や雑誌の取材で、しきりにみんなで一緒にご飯を、
と誘っていたのもその一つなのかもしれないです。
(でなければ、ただの食いしんぼw)
良い芝居を作るには、3人の関係性を深めていく必要があると考えたのでしょう。

私には『大奥』以来、彼女の芝居に対する考えが少し変わったように思えます。
相手の芝居を受け、良いところを引き出した上で
自分も輝く・・・

かつての多部ちゃんは「相手役を喰う」「美味しいところ全部持っていく」
という完全なソロプレイヤーでした。
それが今では相手とのハーモニーを楽しむ、よりよいものに仕上げていく・・・
そんな心持が少し出てきたように思えます。
かつての「全部持っていく未華子」はもういません。

『サロメ』の時は、カーテンコールは1人で出てきました。
『わたしを離さないで』ではみんなで横一列になって、拍手を受けています。
そして座長として、上手下手に手を差しのべます。

そうです。
演出は蜷川幸雄御大ですが、
もう立派に 多部未華子一座 になっていますね。


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【あらかじめ定められた運命】

上演時間;
1幕 1時間30分
/休憩15分
2幕 1時間
/休憩10分
3幕 50分


劇場入り口にある貼紙を見て、愕然としますよね。
でも始まってしまうとそれほど長さを感じませんでした。
ただ「風」がよく使われる舞台なので、
中盤過ぎぐらいから・空調のせいか喉がいがらっぽくなってきました。
咳を堪えるのも必死。のど飴も用意していましたが、
我慢しきれず、ゴホっとなってしまいました。

なにか羽織れるものがあるといいですね。

それと会話がドンドン続くお芝居ですから、
第2視聴覚室の場面あたりで、ちょっと集中力が弱まってきます。
芝居が退屈なわけではないですが、
八尋と鈴の会話が続く場面で、ちょっと意識が・・・
ここを堪えるとあとは大丈夫のようです。

この2つは、どうも私だけではないようです。

あちこちで咳払いが聞こえました。
最近、観客のマナーが問題になっているようですが、
みなさん、タイミングを見計らって芝居の邪魔にならないようにしているようです。

へールシャムで育った子供達は、普通の人々と同じように
成長し、恋バナをし、三角関係になったりしています。
普通の生活、普通の恋愛、普通の会話。
でもあらかじめ定められた運命、よいうか立場が
全く違う。

そんな中で、「提供」が始まるまではごく普通の青春学園風景なんですね。
でも彼らは逃げるでもなく、闘うでもなく、降り注ぐ雪が積もっていくように
時を重ね、ひたすらその時のくるのを待ちます。

でもそれは決して絵空事と片付けられる話ではないです。
『わたしを離さないで』はSF的な設定ですが、
これを終末治療だったり、戦争だったり、宗教だったりすれば、
その運命の中で少しでも前向きに懸命に生きようとする・・・

日本でもほんの70年くらい前に、そういう状況下の若者達がいたわけで。

多部ちゃんに翻ってみても、
『サロメ』しかり、
『大奥』しかり、
『ラストホープ』しかり、直近の
『僕のいた時間』しかり、

ずっと溯ってしまえば『ルート225』も・・・

どれも宿命によって限られた可能性の中で
前向きにひたすらに生きていこうとする話ですね。
多部ちゃんが八尋役に起用されたのも、偶然じゃないです。
まるで数学の公式に当てはめるが如く
ジグソーパズルの最後のピースにはめ込むように
ここは多部未華子じゃなくちゃ!


「わが道を行く」この女性が手繰り寄せているものは
ドンドン大きくなって、未来に向かって華ひらこうとしているように思えてなりません。


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◇  ◇  ◇

>40代のおかんさんへ

当日のツレのロペ・ファッション(笑)
中身はモチロン違いますw

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入院して痩せたのか、袖が写真のようにめくれるようになったと喜んでおります。
下は普通のジーンズ(ホットパンツ風ではありません)



【キャシーと八尋】

※注意ネタばれ含む

舞台が日本だという点を除いては、原作に忠実な作りだと聞きます。
(原作未読ですが・・・)
昨年DVDで鑑賞した映画は、2時間という枠に収めなきゃいけないので
かなりダイジェストな編集がなされているらしいですが、
製作総指揮に原作者も名を連ねているので、そう原作と乖離した内容ではないはず。
現に両者に共通する場面、台詞も多いですものね。
ただ決定的に違う設定もあります。
舞台には「ルーシー先生」に相当する人物が登場しませんものね。

おそらく、映画と舞台を重ね合わせると、かなり原作の再現性が高くなるのでは?
でもそんなこと意味ありませんね?
それぞれ違う表現芸術ですから・・・

あと、設定を日本にしたのは何故でしょう?
ま、普遍性があるということでしょうか?
芝居が始まってしまえば、じきに気にならなくなります。

では八尋、鈴、もとむ という名前はどうやって決めたのでしょう?
これは脚本家倉持裕の手になるところな
訳ですが、
●鈴=ルース(Ruth)・・・鈴は鳴ることで自己の存在をアピールしますね。
でも揺さぶったりしないと、自らは音を出しません。
(シャンシャン、鳴ると鳴ったでうるさく感じるときも・・・)
●もとむ=トミー(Tommy)・・・漢字で書くと「求」。
つねになにかの欲求に駆られているのだけれど、子供の時にはそれを抑制できずに
癇癪を起こしてしまう。最終的には少しも生きることについて望みを抱きます。

この2人については音的にも「すず=ルース」「もとむ=トミー(トム)」と
韻を踏んでいるようにも思えます。

問題は八尋。
原作ではキャシー(Kathy=Katherine)ですね。
発音的には全く違いますね。
また、Katherine はWikiによれば語源はギリシア語で「純粋」という意味を持つ
「カタロス」(katharos)という言葉に由来するそうです。
原作者的にはこの登場人物に、純粋さ、不変さの象徴を求めたのかもしれないですね。

では八尋は?
これも神代の頃からの由緒正しい言葉(いくひろもある→非常に大きい、非常に広い)ですねw
鈴ともとむのそれぞれの思いと寂しさを受け止める「大きな存在」、
包容力と受容力に満ちた人物をイメージしたのか知らん。
それってある意味「介護」の理念の一つでもあるわけで・・・

そんな寛大?な八尋が自分の感情を爆発する場面が1箇所あります。
第2視聴覚室で鈴に良いように言われた後、ひとり残された時に
机をガンと蹴るシーンがありました。
でもそうやって、モヤモヤした感情は自分の空の中に閉じ込めてしまうのですね。

発信力の強い鈴、強い欲求を秘めたもとむ、
ふたりの思いを受け止める八尋・・・

3人揃うと、はじめて「バランスの取れた人間」になるのでしょうか?

異常、主要キャストの名前に関する妄想でした。


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≪『わたしを離さないで』パンフレットより≫


だとすれば、『農業少女』の百子、『サロメ』の王女とならぶ
多部ちゃんのハマリ役、当り役と言えますね。


(つづく)


【上得意さん?】

埼京線がストップして足止め喰らったのを理由に、
駅前というかガード下のヤキトリ屋さんで、
はつと手羽の塩、ししとう、ねぎ、なんこつ、もつの煮込みをいただき、
中生ジョッキ各2杯を飲んで、大宮から景品東北の各駅でノンビリ帰ってみると、
ヤマダ電機のDMと一緒に、Rope'Picnincの春のカタログが郵送されてました。
おお、仕事が始まったら、4000円以上の買い物をして、手に入れようとしていたヤツ。

多部ちゃんには、写真集のようなコンテンツがあまりありませんので、
こういう写真が見られるのは貴重ですね。


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ロペさん、ありがと。
また7月頃になったらなんか買うからねw

そういえば、舞台を見に行った時、カミさんは
ロペのシャツにジャケット、いつかもらったショッピングバッグに
身を固めていました(回し者?)



【青春群像劇】

彩の国さいたま芸術劇場に、夫婦で『わたしを離さないで』を観劇しに行きました。
予め運命の決められた若者達の諦観に満ちた、それでも少しでも生きる証を求める姿は、
重く沈鬱でした。

ツレは「青春群像劇だね」と言ってました。
彼女には今回予備知識をあえて提供してませんでした。試しに。
(私は映画であらすじはわかっていましたが)

帰りは埼京線が事故で止まってしまったので、駅前の焼き鳥屋さんで時間を潰しました。
帰宅したのは午後10時近くになりました。疲れましたが、心もお腹も大満足な1日でした。

それにしても多部ちゃんは日本一「介護」の似合う女優になったなあ(笑)

この日もたくさんの多部ブロガーが集まったようですが、
まあ人多すぎ(笑)誰が誰やらどこがどこやら・・・
残念ながら、ご挨拶できたのはのんさんだけでした。
まあ、またの機会には是非。

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京浜東北線とりんかい線を乗り継いで、役2時間。
やってきました、さいたま劇場。


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げ、休憩をはさんでおよそ4時間の長丁場・・・
ほとんど出ずっぱりの主役は大変だあ・・・

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駅から劇場に行くあいだに、サイゼリアで腹ごしらえ。
歩道の脇にはいろんな人の手形が・・・

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途中、鈴の湯発見。


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劇場に入ると、各キャストに贈られる花の数々・・・
春馬クン、目立ってます。フォントのせいだな(笑)


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直前まで収録していたドラマとはいえ、『僕のいた時間』チームから
送られているのはありがたいですねえ。美月ちゃんのも目立ってます。


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スポンサーからもお花が。
ツレによると亀田製菓からも来ていたとか。
『デカワンコ』のプロデューサーからもお花が。
ラブだねえ(笑)


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どこかで見覚えのある皆さんのお名前が・・・
「わたしたちを離さないで」というのがウケます。


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ちょっと目立たないところに
宅間さんや吹越さんからのお花も届いてますね。



肝心の舞台については②で・・・


【ジャックとガーランド】

カミさんはテニスに出かけました。
鬼の居ぬ間に何とかです。

職人レッド・ガーランドと天才ポール・チェンバースの織り成す音の空間に浸っています。
芳醇なJ・ダニエルの香りにも(^_^)
明日は多部ちゃんに会いに行きます(^_^)


いい気持ちです。はい。