【2014年多部未華子の仕事】

ありていに言えば、『『Let It Go』は、隠していたものをオープンにして、
自己を解放し、それならば誰が何を言おうと構うものか、という歌に聞こえます。
「いい子」にしていた自分はもう我慢しない。

随分と開き直った内容ですが、ミュージカルの歌詞ですからね。
人間はかくあるべし、という道徳の授業でも、政治的な主張でもありません。

エルサの歌なんですね。

すると、『アナと雪の女王』が始まってから、エルサが孤立し、自己を抑制し、
隠匿してきた「秘密の能力」を“もうみんな知ってしまった。隠すことはない”と
人気のない雪の山奥に失踪し、これまで抑えていたパワーを爆発させました。
もうだれにも制御できない状態で、氷の城まで築き上げ、自ら閉じこもってしまいました。
そこでうたわれるのが『Let It Go』なんですね。
だからもう勢い余ってます。
エルサの孤独が伝わってきます。
いわば「強がりの歌」なんですね。

ですから劇中歌としての『Let It Go』は高い評価を得ています。

米オリジナルでも日本でも、劇中歌とは別にイメージソング(主題歌)として
劇中歌は声優:イディナ・メンゼル/松たか子 、
主題歌(エンディング・ソング)は別の歌手:デミ・ロヴァート/May J が担当してます。
そら、劇中歌の方が評判がいいのは当然。
ストーリーあっての歌ですから・・・

なんせ、自己中・解放上等の歌ですから、あの場面でエルサが歌ってこそ説得力がありますね。
独立した歌曲として聴くと、ちょっとその辺が強く出すぎて(アレンジは違うとはいえ)
それほど良い歌には聴こえません。
映画あっての主題歌ってことでしょうか?


◇   ◇   ◇

翻って、多部ちゃんの近作を見てみると、

『僕のいた時間』・・・厳しい就活、閉塞感のある家庭、罹病といったぎりぎりいっぱいの状況で
病気を告白し、さらには自分の抱いている恐怖、「生きることへの恐怖」を打ち明け、吐露し、
その中で「今出来ることを懸命に生きる」「ひとつひとつ目の前の目標を克服していく」ことにより、
家庭や職場や周りの人たちをもうごかしていく、というお話しでした。
まさに、「秘密を打ち明けること」がキッカケとなったのですね。

『わたしを離さないで』・・・この人たちはどうだったでしょう。
臓器提供用のクローンとして育てられ、自分達は特別な存在だと教育され、
逃げることも反抗することもなく、宿命を受入れ、その中で懸命に生きていく・・・
「秘密」ではないけれど、そういう予め定められた運命を覚悟して、
腹を括って生きていく様を描いたストーリー。

もともと多部ちゃんの演じるキャラクターの多くはなんらかの「秘密」「願望」を
抱きながらも、一所懸命真面目に生きてきました。
順調にいい仕事をしているなあと思う今日この頃です。

そして、『アニー』に出演したくて女優となった多部未華子が、いよいよ
原点回帰・・・『キレイ』で主演を務めるんですね。

そりゃ、観るしかないでしょ(笑)

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これは『セーラームーン』。
【『Any Day Now』からの『Let iT Go』】

『チョコレートドーナツ』は、ゲイのカップルとダウン症の男の子との擬似家族でした。
1970年代アメリカの(そして現在も根強くある)少数派の彼らへの偏見、抑圧、差別と、
「自分を隠そうとせず」闘うことによって、ごく当たり前の「愛」を守ろうとする
お話しでした。「法律に正義はないのか?と聞かれた黒人弁護士が言います。
「法律学校で最初に習わなかったか?」
彼らの「解放」への第一歩であり、一敗地にまみれた闘いでした。
「でも闘うんだ」

てな具合に、スイーツな邦題(原題は『Any Day Now』)にしては、骨太のストーリーでした。
この虫歯になりそうな邦題もちょっとセンス良いな、と思いました。
70年代から大人だった世代のアメリカ人に『Any Day Now』といえば、それだけで
「I Syall Be Reliesed!」と思い浮かぶでしょう(ホントかよ?)
日本で「盗んだバイクで」と言ったら、「走り出す」と応えるようなものです。
ま、B・ディランに詳しくない日本人にとっては、マルコの好物だったチョコレートドーナツ
をタイトルにしたのもキャッチーで致し方ないかなと思います。
それもヒットの要因とすれば、結果オーライ、
良作が多くの人に観られた訳ですから、良しとしましょう。

で、ちょっと涙もろくなっていた私達は、昼食後、次の作品を鑑賞に行きました。

『アナと雪の女王』(ネタばれ)

この作品は、
①従来のディズニー映画と異なり、「王子」の役割が小さい。
②アナは、自由奔放で自己中心的な性格だけど、わが身をも捨てる
自己犠牲の行動により、「本当の愛」「小さい頃から欲しかった愛情」を手に入れる
③雪の女王エルサは、抑えていた能力を解放し(Let It Go)、隠すことなく
堂々と(誰に何と言われようと怯むことなく)女王たる威厳をもって、
かう、能力ゆえに遠ざけていた妹アナを幼いときの様に素直に愛することによって、
雪と氷を操る超能力をコントロールすることが出来るようになった。

つまり、エルサとアナを救った「本当の愛」とは、最終的には(男女の愛ではなく)
姉妹の「愛」だったというお話。

あとはつけたし、つけたし・・・

ひとりっ子だった私はもう、エルサに感情移入しまくりでした。

幼い頃、妹を傷つけてはいけないと、封印した「能力」
いつもいい子(Good Girl)にしているよう育てられ、
妹も家族も遠ざけ、自分の部屋に閉じこもってしまう。

王様だった父親と母親を海難事故で亡くし、成人になって
戴冠式を迎え、(能天気なアナの婚約騒動に激高し)能力を暴走させてしまい、
ひとりで雪深い山奥に逃げてしまう。
そこで、「ありのままの 自分でいいの」と『Let It Go』を歌う・・・
声優を務める松たか子が、貧血を起こすんじゃないかと思うようなハイトーンで
素直な日本語の発音で歌い明けています。
この場面は秀逸です。抑えていたエルサが思うがままに雪と氷を操り、
はじめてありのままの自分を爆発させて、
遂には氷のお城を作り上げて、そこに引きこもってしまいます。
(要はヒッキーの開き直りの歌だったのか!)

化粧もいつのまにか濃くなっていました(笑)

あとはつけたし、つけたし・・・
天岩戸に引きこもった天照大神に何とか外に出てもらえるようにと、
アナが単身エルサを迎えに行くお話です。

ストーリーが単純すぎるという声もあるようですが、
このくらいシンプルな方がリピートして観るには丁度いいでしょう。
前半はミュージカル風なのですが、後半、パッタリと歌は聞こえなくなりました。

【カミングアウト】

『チョコレートドーナツ』と続けてこの映画を観たのは全くの偶然でしたが、
この並びで観ると『Let iT Go』はカミングアウトの歌にしか聞こえません。

ゲイということを隠して弁護士として働いていたポールが、奔放な
ドラッグクイーンに出会い、育児放棄されたダウン症の男の子を引き取るに
ゲイであることを隠さずに法廷闘争を繰り広げたこと。

ありのままの自分をさらけ出し、誰に何と言われようと構わない(=Let iT Go)
そのことで本当の強さが身についていくということ。

エルサの能力は「原発」のメタファーとも「性同一性障害」のメタファーとも取る、
そんな穿った説があるそうです。
どちらにしても「本当の愛」がなければ、コントロールも解決も共存も立ち行かない、
ということではないでしょうか?


(つづく)


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こないだの休日、数年ぶりに横浜みなとみらい地区にあるシネコン、109シネマズMM横浜に
映画『チョコレートドーナツ』をツレと観に行きました。ここは堀北真希目当てに『3丁目の夕日』を
観に来た以来です。ここは交通の便が悪いので、最近は桜木町駅前のブルグ13というシネコンに
行くことが多くなっていました。まあ上映作品は、ほとんど同じですからね(笑)
ところはこの辺では、『チョコレートドーナツ』は109シネマズしか上映してないので、
久しぶりにこちらに足を運びました。

アラン・カミングが「ドーナツが食べたい」という男の子に、
「それじゃ、カラダに悪いから」と言って、冷蔵庫からチーズとクラッカーを
「チャンピオンの朝食よ」といって、ほら、食べなという感じで無造作に
テーブルの上に置いたところで、
ツレのお腹がグ~ッと大きな音を立てました
(いや、ドーナツとたいして変わらんだろ、と言うツッコミはさておき・・・)

そんな訳で敷地内のレストランで、ペペロンチーノとビールで腹ごしらえしてから、
しばし、映画談義。すっかり気分がよくなったところで、「もう1本観ようか?」
という気分になって、午後からもう1つ映画を観ることにしました。
映画はいっぱい上映してますからね。

『アナと雪の女王』(吹替版)


最初に告白しておきますが、『チョコレートドーナツ』からの『アナ雪』
危険です(笑)
もう準備運動できてますから、
冒頭の「雪だるまつくろう」からボロ泣きです。


(つづく)

積み重なった段ボール箱が崩れて、私のパソコンを直撃。
キーボードを破損してしまいました。
只今修理に出しておりまして、文章を書くのにいまいち調子が出ません(笑)
ですから少しずつ書いていきますのでご容赦ください。


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そういえば、私はこのドラマのオープニング音楽ですでに号泣です。
“The Party Is Over・・・”



【『チョコレートドーナツ』】

ボブ・ディランが最も嫌った事は、権力者や金持ち(establishments)が
既得権や権威や慣習を盾に、他の人に言うことを聞かせようとすることでした。

早い話が「私の事は放っといて」って話ですよね。

でも酷いときには戦争に駆り出されたり、不当に弾圧されたりする訳です。
それがベトナム戦争泥沼化といわれたり、公民権運動が盛んだった頃の
アメリカの社会状況でした。閉塞感どっぷり。
そんな牢獄のような状況から、自由になりたい・解放されたいと、切望・宣言する歌の1つが
I Shall Be Releasedで多くのミュージシャンによって歌われています。

先日観たこの映画は、70年代のアメリカが舞台。
ゲイのカップルが隣家の(薬物中毒の母親に育児放棄された)ダウン症の男の子を引き取り、
一緒に暮らす話です。マイノリティーの者同士、ごく普通の暖かい家庭の営みが送られます。

男の子の名はマルコ。お人形のアシュリー、ディスコダンス、ハッピーエンドのお伽噺、
チョコレートドーナツが大の好物。
一緒に海に行ったり、ハロウィンの仮装をしたり、クリスマスを祝ったり・・・
でも会社の上司とか眉をひそめる連中もいるわけで。

やがて、世間や司法によって引き裂かれようとする3人の生活。
裁判を通して、少年のしあわせよりも、2人のゲイのことが問題視されます。
幼児虐待にあたる、養育に相応しくないと主張されます。
マルコの好きなアシュリーは女の子向きの人形、とか
ハロウィンの時の仮装までもが「子供の前で女装した」と攻撃されます。

最終的には、司法取引によって仮釈放された母親が養育権を訴えて、
裁判は幕を下ろします。「世界中どこの裁判所でも、産みの母親が最強だよ」
マルコは再び母親の元へ・・・

やがてこの物語はハッピーエンドとは全く逆のラストを迎えます。
マルコはハッピーエンドが好きだったのに・・・

「正義なんてないんだ」と言う主人公の1人に、黒人の弁護士が言います。
「法律学校で最初に習ったろう?でも戦い続けるんだ」
お涙頂戴でも青臭い話でもありません。
最後に歌われるI Shall Be releasedに心を素手で鷲掴みにされただけです。

ベット・ミドラーのような歌手になるのが夢だったドラッククイーンのルディにアラン・カミング。
そのパートナーで、性癖を隠して弁護士をしているポールにギャレット・ディラハント。
マルコ少年には、自身もダウン症の俳優アイザック・レイヴァ。
監督はトラビス・ファイン
脚本:トラビス・ファイン 、ジョージ・アーサー・ブルーム
原題:Any Day Now
2012年、アメリカ作品。



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アラン・カミングが熱演。
『クレイマー、クレイマー』の頃のダスティン・ホフマンやロバート・ダウニー・Jrを
彷彿とさせる柔らかい目つきが、後半完全に「おかん」の眼差しに変わります。

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「ドーナツなんてカラダに良くない」と心配するルディと、
「たまにならいいだろ」と言うポール・・・
すっかり気分はママとパパです。

ポールはヅディと出会い、マルコを巡って理不尽な社会と闘ううちに
もうゲイである自分を隠さず、正直に生きていく勇気を持つようになります。
この作品でいちばん「解放」されたのは、ポ^ルでしょう。




【『チョコレートドーナツ』予告編】

【『チョコレートドーナツ』公式サイト】


2014.06.05 5月病
来年はもう還暦です。嗚呼、年なのかなあと感じていましたが、
多部未華子の芝居を観て、富士山を間近で拝んで、
Facebookのつてで高校時代の友人と40年ぶりに連絡が取れて、
彼が学生の頃語っていた夢のように、九州で喫茶店のオーナーをしてて
現役のミュージシャンを続けていて、
007/ スカイフォールを観て、
宇多田ヒカルの再婚のニュースを聞いて、
全仏のウィリアムズとアリゼ・リムの試合を観て、
なんか元気が出てきました。(単純)

リブート完了。明日からまたガンバろうっと。

◇   ◇   ◇

多部ロスをなんとかしのぐために・・・

【WOWOWの多部ちゃん】

①『ライアーゲーム~再生』  6/22(日) 15:30~

②『サロメ』  7/10(木) 13:00~

③『ふくすけ』  7/19(土) 22:30~




【『ライアーゲーム~再生』番組情報】

【『サロメ』番組情報】

【『ふくすけ』番組情報】

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『農業少女』やらないかなあ・・・